禁断の科学裁判
 
−−−ナウシカの腐海の森は防げるだろうか−−−


私の想い
加藤登紀子

12.19.2005

今、私たちは重大な岐路に立たされている。
これまでも、後で振り返った時に、何でこんなことになってしまったのか、なんでこんなに大切な選択を誤ったのかと、悔やまれることはあった。
エイズ患者を生み出した血液製剤のこと然り、耐震強度の査定の見過ごし然り。

遺伝子組み換えについても、もう幾年もその危険が叫ばれて、それぞれのケースでぎりぎりの判断を迫られてきたのだ。
今回の遺伝子組み換えイネの実験田植えによる「ディフェンシン耐性菌の危険性」については、その影響の恐ろしさを世界の学者たちが指摘したにもかかわらず、何の危機感もなく一回目の野外実験を許した、日本の行政に対して驚きの念を隠していない。二回目の実験など言語道断というところだ。
実験室の中ではもうすでに「からしな」から取り出した、ディフェンシン遺伝子の組み込みにより、耐性菌の発生が確認されているというのに、二回目の野外実験にストップをかけていない無神経を、絶対に見過すことは出来ない。
自然界に放出されるディフェンシンによる耐性菌の出現と大量増殖は、私たち人体の中にあるディフェンシンの働きを無効にする結果を招き、現在ディフェンシンによって抑えられている潜在的な病気を一気にふき出させる危険性を孕んでいる。その病気の中には、もちろんエイズも含まれている。
そうなってからではもう間に合わない。
今、この問題をもっと社会全体に知らせるべきであり、この選択について、すみやかに中止の判断を下さなければいけない。

以上が、国民のひとりとしてこの中止を求める裁判の原告になる決意をした理由です。

          歌手・UNEP(国連環境計画)親善大使  加藤登紀子

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