禁断の科学裁判
 
−−−ナウシカの腐海の森は防げるだろうか−−−


<遺伝子特許競争>
安田節子(食政策センター「ビジョン21」主催者)
12.25.2005

片山秀策センター長は「国際競争に打ち勝つには、ここでGM技術の発展を閉ざすわけにはいかない」と報道に述べています。日本のコメが国際競争に勝つという意味なら、すなわち消費者に選択される、求められるということのはずです。表示したら売れないGMは市場での国際競争力を失うものです。また遺伝子汚染によって普通のコメまで売れなくなるリスクを犯すことになります。片山センター長がいう「国際競争」とは実は組み換え技術の特許競争のことなのです。GMで特許をとり、特許料でかせぎ、特許をかけた種を売る、そのことでいったい誰が得をするのでしょう。日本の農民でも途上国の農民でもなく、食べる消費者でもないことだけは確かです。

これまでGMイネの開発は売れる見込みがないということで企業はすべて撤退してしまいました。しかし、農水省はバイテク推進政策のもとでGMイネ開発を強力に進めています。とくに、この2,3年各地の農業研究機関で野外栽培実験が行われるようになっています。しかし、こうした野外栽培試験は、愛知、岩手、平塚などでは市民の反対によって中止に追い込まれ、また、北海道のように独自の規制条例を制定させるところもでてきました。こうした動きに危機感を抱いたのか、今年、農水省は野外栽培を強行する構えを見せたのです。北陸研究センターのほか、東北大学(仙台市)、農業生物資源研究所(つくば市)では、いずれも地元の強い反対にもかかわらず田植えが強行されたのです。裁判はこうした反市民的な動きへの市民側からの意義申し立てなのです。

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