禁断の科学裁判
 
−−−ナウシカの腐海の森は防げるだろうか−−−


3:その間、裁判外で、市民サイド(及び行政サイド)では、どのような展開があったか。

天明伸浩(上越有機農業研究会代表。農場「星の谷ファーム」経営)
12.29.2005

北陸研究センターが実験開始を表明すると、新潟県内では多くの懸念の声が上がりました。最も大きかったものは、新潟コシヒカリに対するイメージの低下です。ブランドイメージは新潟県の水や空気、栽培している人の心意気も含めての新潟コシヒカリです。その地でGM野外実験を行うことへの疑問でした。

さらに遺伝子組み換えに対する漠とした不安でした。そこで、上越を中心に多くの勉強会が開催されました。天笠啓祐氏から遺伝子組み換えの現状。7月20日には上越有機農業研究会と北陸研究センターとの共催で「遺伝子組み換えを勉強する市民の会」も催され、実験反対の立場で河田昌東先生に登場してもらいました。どの会も硬い内容にもかかわらず会場を一杯にする人が集まりました。さらにカナダからシュマイザー氏が駆けつけてくださりカナダの農民が遺伝子組み換えナタネで痛めつけられている状況を発表しました。

このような勉強会の中心となったのが新潟県内の有機農業団体で作った「新潟遺伝子組み換えイネいらない連絡会」、労働組合などで作った「にいがた食と農と健康、教育ネットワーク」、さらに消費者や農民など多くの人が参加した「新潟の米と自然を守る連絡会」などのグループです。
これらの団体は全国的な署名活動を行い、北陸研究センターに約8万筆提出しています。さらに、遺伝子組み換えいらないキャンペーンが中心となって、新潟県により良い条例を作ることを求めて約30万筆の署名を知事に提出しました。

新潟県では05年より遺伝子組み換えによらないイモチに強いコシヒカリBLを導入していました。その微妙な時期に新潟県で遺伝子組み換えの屋外実験が行われることに危機感を強め、知事が遺憾表明をすると共に、県市長会では実験の即時中止を求めた意見書が全会一致で採択されました。さらにいくつかの市議会、JAでも実験の中止を求めました。そのような中で新潟県としても遺伝子組み換えに規制をかけるために条例を作成することになり8月より検討委員を発足して検討した結果、おおよその形ができ、現在さらに細部を詰めている段階です。


戻る