人間の小腸通過後に除草剤耐性大豆の遺伝子を発見―英国の新研究
04.1.19
英国ニューカースル大学の研究チームが除草剤耐性大豆の遺伝子の一部が自然の大豆と同様、人間の小腸での消化後に残存しているが、大腸を通過した後に消滅しているという研究を発表した(Assessing the survival of transgenic plant DNA in the human gastrointestinal tract - Nature Biotechnology 18/01/04)。研究者は、この結果の人間の健康にとってのリスクを証明するわけではないが、将来、遺伝子組み換え(GM)食品の安全基準決定の際に考慮されねばならないと強調している。
GM植物の人間による消費は、従来、植物のDNAが消化管内に残ることで、導入された遺伝子の腸内寄生菌への移転のリスクがあり得るという懸念を 生んできた。これまで、抗生物質抵抗性を持つ遺伝子の移転が人間の治療薬に抵抗性をもつ病源体を発達させるのではないかという恐れが強く指摘されてきた し、実際に人間や鶏・牛の一定の組織内に植物細胞由来のDNAを発見したいくつかの研究例もある。今回の研究は、GM大豆を消費したボランチアの小腸を通 過した後に、除草剤抵抗性を持つ遺伝子(epsps)が残存していていたという新発見である。
それは、この研究で確認された遺伝子移転が消化機能を変えることや、人間の健康にとってのリスクをなすことは、高度にありそうもないとしている。しかし、この発見は、GM作物・食品の安全性に関しては、まだまだ慎重な評価の必要性があることを示唆するものではある。
農業情報研究所